私は10月初旬、この事業に参加するため、腸内細菌検査(サルモネラ菌、赤痢菌、O-157)を検査機関でおこなった。そして、要介護4以上を預かる宮崎市内の老人保健施設(50名以上)で2日間、居室清掃・床掃除、食事の介助(配膳、下膳)、乾髪(入浴後)、見守りなどをおこなった。
(イメージ写真)
オリエンテーション・施設見学後、各部屋(4人部屋)の床、ベッド回りの清掃をおこなった。おひとりの方が睡眠していた(寝たきり状態)以外の方は、十数名が大部屋にて3名の職員が、認知症や身体が弱った車椅子の方が多く、自分で自分のことができなった方への話し相手や時折、排泄の世話をしていた。入所している方にとっては、長い一日なのだろう。
清掃をした4人部屋は、8畳程度のスペース。病室と同じつくりである。カーテンが間仕切りにあり、人によってはテレビなどもあった。南向きの部屋だったので、クーラーがあっても日中は暑い。
乾髪では、10名の方を担当、風呂上がりシャンプーの香りが残る中、丁寧に乾かした。次の方がこられる間隔が短いので、テキパキと丁寧におこなうのがポイントだった。その後、足の指を乾かして靴下を履かせたが、男女とも水虫になっている方が多い。本人も何も言わない。
最後は、食事介助。ほとんど方はご自身で食べることができるものの、1/3程度の方は、職員が手伝いなくして食事ができない。ひとりの職員で複数名を担当するので、自分の親に食べさせるようにはできない。食べたくない方も、食べないと身体や弱くなることから、無理して食べさせる面もある。顔をしかめて、食べていた方の印象が深く残っている。
お金を出しているから、サービスを提供するのは当たり前という考え方もある一方、安価でサービスを提供している施設に、有料老人ホームの質は求め難い。所得格差は受けるサービス格差にもつながる。こんな現実にも直面した。
そんな中で介護の現場で必要な力について考えた。3つのポイントにまとめてみた。ひとつは、相手を想像する力(言葉がしゃべれない入所者の気持ちを察する)、連携する力(限られた職員の中で、やりとりすることは足し算ではなくかけ算の支援が可能である)、心身の健康(あいさつ、表情、病気にならない(勤務に穴を空けない))こと。
若い頃には、そんなことを想像できず、目先のことばかりに集中する。健康管理ひとつにしても、夫婦、親の誰かが寝込むことで、生活のリズムも急変する。そんな家族の一員としての自覚が持てるほど、ゆとりもない。
少子高齢化社会が進行するなか、自分の身は自分で守る。そんなしかできないが、まずは、そこから始めないと何も変わらないように思う。
今回、参加したことで、自分なりに介護の仕事を理解できた。また、年老いていくことの意味や現実を体感した。短い時間ではあったが、実り多いインターンシップだった。