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相手の土俵で戦わない(指原莉乃さん)

言葉のごちそう : 2021年11月04日(木)

タレントの指原莉乃さんが、HKT時代に出版した「逆転力~ピンチを待て」という本のなかに、「土俵を替える。相手の土俵では戦わない!」との言葉が紹介されていました。

本によると、大分にいた頃は、顔もダンスもそれなりに自身はあったそうですが、東京に来てから周りのメンバーのレベルの高さをみて、「顔とダンスでは絶対にかなわない。自分が勝てる土俵をつくって、その土俵の上で勝とう」と決心。

そこで彼女が見つけた土俵が「いじられキャラ」を活かしてMCのチカラを極めようと思い立ったとのことでした。
そうして自分が戦うべき土俵を見つけ、その土俵で勝てるスキルを鍛えていった結果、現在の指原さんがあるのだと思いました。

私自身、振り返ってみると、相手の価値観、周りの空気に押されて相手の土俵で考えていたと、今更ながら思い起こすことがあります。それは中学時代1年生のこと。

その頃、67歳の祖母が農作業の傍ら、毎日弁当をつくってくれていました。祖母は、今の67歳とは違い、50年前は70代後半のイメージです。器用な祖母ではないので、弁当のおかずは1品。ソーセージのぶつ切りが入っていたこともありました。華やかな弁当のおかずを見せ合う同級生からは、「カレーにしてね、婆ちゃん」などと、母の居ないことを揶揄されるなど、当時は辛い思いをしました。

そんなこともあり私は、弁当の中身を隠しながら食べていました。一方、体育大会では仕事で忙しい父の代わりに祖母が来てくれましたが、周囲の目が気になって学校からちょっと離れた場所で昼食をとっていました。

祖母は、27歳で祖父が亡くなり、ひとりで3人の息子を育て、家もつくり、さらに孫の面倒まで農作業の傍ら見てくれました。そんなに、祖母の強さや優しさに応えられなかった自分自身の弱さだったのだと思います。「カレーにしてね、婆ちゃん」と言われたとき、「世界で一番、愛情をもらっている祖母だ!」といえる勇気も自信もありませんでした。相手と同じでないとダメだったんですね。

周りはどうであれ、自分の環境(土俵)で戦う。今もなお、問われているのではないだろうか。仕事でもプライベートでも、自分の土俵、自分にしかできないこと、経験、それを大切にすることが大事なのではないか。何故なら、それができるのは自分自身しかいないからである。だからこそ、いま生きている場所で精一杯の努力と振り返りが必要なのだと思う。